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先日、原爆資料館のホームページで、ある戦前の映像が公開されました。

3分ほどの白黒動画で、

撮影者は、故・河崎源次郎さんです。

もともとフィルムで撮られたものでしたが、劣化が激しくなってきたためにデジタル処理がなされました。

 

映像は、満開の桜から始まっています。

物語になっているわけではありません。

ただ、通りを足早に歩く着物姿の女性、電車から降りてくる洋服の男性、ボートを漕ぎながら川を渡る学生の様子など、現在と同じような広島の生活が映し出されています。

 

「この笑顔が、一瞬にして…」と思いました。

 

 

デジタルデータ化されたことで映像が鮮明になっていたので、看板などの文字が読み取れます。

「十銭均一」「羽織紐大安売」「青春音頭」…

 

映画館のような場所で、気になったタイトルがありました。『恋の一夜』。

調べてみると、1934年に公開されたアメリカ映画でした。

当時の人々も、家族や友人と誘いあって観に行き、映画の感想を語り合ったはずです。

 

 

広島の街に原爆が落とされたのは、この映像からおよそ10年後。

幼稚園児のように見えた子は学生になり、学生たちは大人になっていたでしょう。

 

被爆の惨状を伝えるために、

写真や、被爆樹木・被爆建物など、様々なものがありますが、

動画の訴求効果は より直接的です。

 

 

小学生の時86日は登校日で、

毎年違う平和の歌を歌い、被爆者のお話しを伺いました。

「それまであった生活が、一瞬にして奪われた」とききました。

動画に映る人々の歩みや笑顔は、その「一瞬」を際立たせます。

 

 

広島の放送局に入社し、86日を迎えるたびに、

それまでのことを、その日のことを、それからのことを、もっと知らなくてはいけないと強く感じます。

 

 

河崎さんの動画は、もともとは日常の楽しい記録だったはずですが、

現在は 悲しみを際立たせる記録として多くを伝えることになりました。

 

動画をみて、戦争の残酷さが、より一層心に突き刺さりました。

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