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子供たちの夏休みも終わりが見えてきた。ちゃんと宿題にも終わりが見えているのだろうか?少し心配になる時期だ。自分が小中学生の頃を振り返ってみると、その年の家族の予定、友達関係などで宿題の進み具合は大きく違ったように思う。7月中にほとんどの宿題を終えてしまうような夏もあれば、8月31日に半泣きになりながらやった夏もあった。どちらの夏にしても1番好きだった宿題が「読書感想文」であった。苦にならないどころか学校の宿題のためという大義名分で本を買ってもらえるのだ。


子供の頃は母親の買い物についていき、母がスーパーへ行っている間は近くの本屋さんで過ごすのがお気に入りのコースだった。漫画や雑誌のチェックはもちろん、「妖怪博士」や「青銅の魔人」といった江戸川乱歩の少年探偵団シリーズのタイトルを眺め、頭の中で学校の図書館と町内の図書館で借りたことのある読了作品と書店の品揃えを比較して今後の購入計画を立てたりして、とにかく本屋さんにいる時間はワクワクしながらあっという間に過ぎていった。


父親は毎月「文藝春秋」を購読していたので、近所の本屋で取り置きをしてもらっている「文藝春秋」を買ってくるというおつかいを頼まれることがたまにあった。自転車を飛ばし本屋のおじさんに「青山ですが文藝春秋をください」と告げると任務完了。子供には「文藝春秋」が発音しにくいといった難点はあったが、お駄賃は「好きな本を1冊買ってよし」という小学生にとっては最高に割のいいアルバイトであった。そして店の陳列棚の中からバイト代わりの1冊をニヤニヤしながら選んでいたことを今でもよく覚えている。ありがとう「文藝春秋」。きっと大人になったら自分も父のように「文藝春秋」を読むようになるのだろうと思っていたら、会社の勤務時間に「週刊文春」を読むような大人になっていた。


そうなのだ。もちろん本を読むのも好きだが、本屋さんで本を眺める、知らない本に出合う、そして時間をかけてその日に買う本を1冊ずつ選ぶというあの時間が昔から大好きなのだ。昔は、新刊は書店、古本は古書店とはっきり分かれていたが、最近は新刊と古本を一緒に取り扱っている書店も多い。そこで新刊探しと同時に、自分でルールを考えたゲームのように楽しみながら購入しているのが100円の古本だ。税込みで110円だ。まず自らに100円の中から選ぶというしばりを設け、カバーが汚れたり破れたりしているものは避け、パラパラとめくって赤線など引かれてないか状態も確認。そんな厳しいチェックを乗り越えた100円の古本の中から新書や文庫を中心に選び抜く。


この厳選して購入した本を、夏場にお風呂で少しぬるめの湯舟につかりながら読むのが至福の時間なのだ。本が少々濡れても気にしない。だって100円だ。古本だ。新刊を持ってお風呂に入る勇気はないし、200円の古本もルール違反としている。濡れたページも髪を乾かすついでに軽くドライヤーをあてるとすぐに乾く。こうして夏休みの読書感想に夢中だった少年は、湯上りに読後乾燥を繰り返すおじさんになりましたとさ…。


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