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  4. 焦った。

焦った。本当に焦った。去る9月下旬の日曜日、車が運転中に突然故障した。

普段は公共交通機関を使って出勤しているが、その日は出社前に用事を済ませる必要があったので自分の車を使って会社に向かっていた。

 

高速道路の料金所を過ぎて、急にクラッチ板が元に戻らなくなった(私の車はマニュアル・ミッション車)。

これはマズイ、相当マズイ。すぐにそう思った。

惰性で何とか動いている車を路肩に停めたが、明らかに自走は無理そう。

車も心配だが、更に焦ったのは、生放送のニュースに穴をあけてしまうかもしれないということ。いつ会社にたどり着けるのかわからなくなったから・・・。

 

 人間慌てると、次に何をするべきなのか分からなくなるといわれるが、あれは本当ですね。

心臓がバクバクするし、顔が急にほてってきた。

「一柳、落ち着け!、落ち着け!」

車中で5~6回大声で叫んだら、少し落ち着いた。保険会社と車屋さんに電話しなきゃ。

あっ!会社にも。

 

 保険会社に連絡中に、白い福岡ナンバーの車が私の車の前に停まった

「邪魔だろ!」と凄まれるの覚悟した。おっさんが降りてきた。案の定何か言っている。

私は自分の状況を説明中なので、おっさんの相手をしている余裕はない。焦る私。

しかし何となく聞いていると、どうやら道を尋ねているらしいとわかったのだが、とにかく私には余裕がない。視線を合わさないことで、こっちがそれどころではないことを分かってもらおうと懸命だ。何となく察知してくれたのか、暫くすると走り去ってくれた。

 

 会社にも電話。後輩の渕上が出てくれた。事情を説明すると、残って待っていてくれるという。予定があったのだろうに感謝。

 

 数分後、車屋さんが迅速に到着した。レッカー車への引き渡しをしておくので、一柳さんは出社してくださいとのこと。お連れのエンジニアの方が会社まで送ってくださったので、20分くらいの遅刻ですんだ。ほっとした私には、アナウンス部で待っていてくれた渕上と田口がとても可愛い天使に見えた(そのそばではディレクター陣は大笑いしていたのだが)。

 

 これで一見落着っぽいが、話にはまだ続きがあるのです。私の車です。

結構な重症らしく、修理には最低20万。状況次第では40万円はかかるとの連絡。

新車で購入して丸16年。無事に私を色々な場所へいざなってくれていたが、もうそろそろなのかな、と半ば覚悟していたこともあり、そのまま手放すことを決めた。

 

心苦しかった。後日車中の荷物を引き取りに行った際、16年の感謝の気持ちを込めて前後のシートを擦りながら、ありがとうの言葉を重ねた。

変な大人と思われてもいい。そうせずにはいられなかった。



これは、手元に残したスペアキー。車自体は私の手から離れたが、これだけはこの先もそっととっておくつもりでいる。

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