4月16日のマツダスタジアム。
ラジオ実況を担当したその試合は2022年、本拠地“初のデーゲーム”でした。
大瀬良投手が先発し、打線はつながりをみせ逆転。最後は栗林投手が締めて3対2で勝利した中日戦でしたが、試合途中に放送席に届いた数字のメモを見て「ついに!」と感動した瞬間がありました。
そのメモとは「30022人」
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当日の観客数です。
コロナ禍で、2020年シーズンから続いた観客の上限。
今季は撤廃されましたが、それまでの最多は、地元開幕戦だった3月29日の28028人でした。
マツダスタジアムの3万人越えは2019年の9月27日以来、実に932日ぶり。
「ついに…」という嬉しさがこみ上げます。その3万人という数字を噛みしめながら改めて放送席から見える真っ赤に染まるマツダスタジアムを見渡すと、胸が熱くなりました。
過去に何度か放送でもしゃべったことがありますが、私はマツダスタジアムがある南蟹屋2丁目で育ちました。
のちに球場が立つ場所が貨物ヤードだった当時は電車が大好きな子供でした。懐かしいのは国鉄宇品線。私が4歳の頃に廃線となりましたが、その後も大州街道は宇品線跡のガード下をくぐるために、立体交差になっていて、急に下って、また昇る道。今の球場前交差点そばは子供にとって、難所のひとつだったと記憶しています。
そして今のカープロードあたりも思い出の場所。早朝、父と一緒にブルートレインの「あさかぜ」を見に行っていた記憶もあります。昔は電車の“運転手”が憧れの職業でした。
その後、「新球場ができるのでは?」と噂された90年代。
結局、空き地になったままの草むらは、子供たちにとって探検ごっこの最高の場所でした。
そして、いつしかなりたい職業は“運転手からアナウンサー”に変わり、2009年に球場が完成。
ただ新球場が出来たからと言って当時から満員が続いていたわけではありません。
初年度には観客が1万人台だった試合も11試合もありました。
その後、カープ女子という流行語や、3連覇もあり、チケットが入手困難になるほど満員のシーズンが続きましたが、今年はまだコロナ禍という影響もあってか、当日券が販売されている試合もあります。
今年で完成から14年目のマツダスタジアム。
『満員が当たり前ではない』
だからこそ「30022人」という観客数の重みが際立った4月16日の試合でした。
さて球場に行くと、試合前や5回ウラは昨年、ムッシャ―が神出鬼没で話題の中心⁉でしたが、今年はパフォーマンスとして、新たにスラィリーカートが登場しています。球団の話では400万円をかけて作ったオリジナルのカート。
私も試乗させてもらいましたが、シートも高級感があって、乗り心地が抜群でした。
まさか“運転手”という夢が、こんな形でマツダスタジアムで叶うとは思いませんでした♪
ちなみにスラィリー自らが運転可能ということですが、ムッシャ―がカートに乗る日が来るかは球団職員でもわかっていないということです(笑)