オレは角川映画で育った。一番多感な時期に「映画館」で世界を知り…常識を知り…夢を知り…女を知った。
あの映画館の暗闇が、田舎育ちの少年を男にしてくれた。
そのスクリーンに映し出される作品の最初には、必ず「角川春樹」の名前があった。
「犬神家の一族」「人間の証明」「戦国自衛隊」「復活の日」「セーラー服と機関銃」「時をかける少女」「蒲田行進曲」数々の名作を手掛けた角川春樹。
その角川さんが「人生最後の監督作」と位置付けた作品を
今、撮っている。
2020年秋に東映で公開される「みをつくし料理帖」「撮影現場を観においで!」と声を掛けて頂き、映画少年憧れの東宝スタジオへ。
静まり返ったスタジオ内では主演の松本穂香さん、浅野温子さん、若村麻由美さんなどがプロの真剣勝負を行っていた。
物凄い緊張感。同じメディアでもテレビやラジオの本番が醸し出すムードとは対極にある。猛烈に刺激を受けた。
「モノを作る」って、こういうことだよね!と今更ながら教えてもらえた気がした。
時代劇…料理で身を立てることを選んだ少女の話し。
脚本を読んだだけで、涙が溢れた。きっと、いい作品に仕上がるはず。今週は、オレも出演のため「ごぜん様さま」を休む。
子供の頃、夢にまで見た「角川映画」に出演だ。
楽しみだし、気が引き締まる。角川監督の目には、オレの演技がどう映るのか?
ドキドキ、ワクワクである。
2019年9月6日 AM2時41分。
横山雄二。