放送日:2023年1月17日(火)

ゲスト:新甲さなえ女性クリニック 新甲さなえ先生
パーソナリティ:伊藤文、牧瀬和人

おひるーな放送中の出演者
Q.コロナ禍で検診を控えておこうという方、最近はいかがですか?
最初の2年ぐらいはやはり人間ドックの受診率もかなり激減していまして私達のところもちょっと減ったかなと思っていました。最近になって来られる人を見ると3年ぶりに来たという人が結構多くて、やはりコロナで控えてましたかって聞くと、そうなんですよっていう人が最近多いですね。だからやっぱり控えてらっしゃったんだなという印象ですね。
Q.自分の身のためでもあるし、逆に病院に何か迷惑をかけたくない患者さんもいらっしゃるでしょうね。
おそらく、いろんな理由で病院に行くのを控えてと思うんですね。例えば内科だと発熱患者さんがたくさんおられるところに行きたくないという理由で行かれてない方もいらっしゃいますし、あとは私どもだと妊婦さんとかが多いところには、もし自分がウイルスを持ってたらいけないので控えていましたっていう方もいらっしゃいます。いろんな理由ですね。
Q.一方で何かあったときに発見がなるべく早い方がいいですよね。
このところがんで亡くなった有名人の方もいらっしゃいますね。
皆さん、あまり言わなかった方々が多かった中で、最近でははっきりと、亡くなられた方ではなく、かかったときにがんになりましたって公表される方が増えていることもあると思います。確かに増えてると思いますがやはり芸能人の方々は、身をもって「他人事ではないんだよ」ということを私達にアピールしてくださってるんじゃないかなと思いますね。今、死因の中でがんが一番多くなってますよね。2人に1人はがんになる時代になっています。なので決して稀な病気ではないということですね。
Q.生活レベルが昔よりは良くなって環境が良くなって、食べるものも栄養も取れているのに、がんが減っていくならともかく、増えていってるってのはどうしてなんでしょうか?
なかなか一つの理由ではないと思います。今まではよくわかっていなかった死因だった人も、検査が進んだことによってがんということがわかったということも一つです。
ただ生活習慣で塩分を控える食事になって、脳血管疾患は減りました。そのため、相対的にがんの割合が増えているということも一つの理由です。
もう一つはやはり特に大腸癌とか乳がんは明らかに生活習慣の変化によって増加しているんですが、胃がんは食生活が変わったことによって減ってます。もちろん検診によって見つかることが多くなったことも理由ですけども、そういう様々な要因でがんがすごく増えているように見えてるということもあります。
確かにいろんな環境因子ががん化のリスクを高めている場合もあります。それは全てのがんではなく、がんによってそのリスク因子が様々です。例えば子宮頸がんはウイルス感染が原因ですので感染を予防することによって、がんを減らすこともできます。それぞれのがんによってリスク因子は違いますけども、そういうことも影響していると思います。
Q.そして大切なのがやっぱり検診ですね。
特に胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頚がん、この五つのがんについては、検診で早期発見をすれば治るがんなんです。なのでぜひともこの五つの検診は、せっかく受ける機会を行政も私達に与えてくれてるわけですから、最低でもこの五つの検診は受けていただきたいなと思います。検診を受けることだけで命拾いをしているようなもんなんですよね。かかることはしょうがないかもしれないけれど命を助けることになります。
ただ頸がんは違います。頸がんの検診はがんになる前を見つけるためにやっていますので、他のがん検診とちょっと意味合いは違うんですけども。それ以外のがん検診はとにかくがんを早期発見するために行ってください。
Q.特に女性特有のがん、子宮頸がんでいうと、他のがんと比べて検診に行くハードルが高いなと思われる方もいらっしゃるんじゃないですか?
そこをぜひとも下げたいんです。
Q.若い方とかが検診を受けるのに抵抗がある気持ちがちょっとわかるような気もするんですけれど。
そうですね。どうしても恥ずかしいということが一番に上がってくるんじゃないですかね。下着を取ることに恥ずかしさとか抵抗感があったりされるのかもしれませんけれど、検査自体は痛みもほとんどありませんし一瞬で終わりますので、そんなに大ごとをするわけではないんですね。なのでまずは1回行ってみてハードルを自分で取ってみて、その後習慣づけるというのが大事だと思います。例えばお誕生日の時期、月になったら必ず検診を受けようとか、親子で来られるとか、誘い合わせて友達同士で来られるとか、1人で行こうと思うとなかなか若い人は勇気がいると思うので、そうやって行ってみられてもいいかなと思います。
Q.大体いくつぐらいから行くといいですか?
まず子宮頸がんは、性行動によって運ばれてくるウイルスがほとんどの原因になっています。なので、性行動が始まった方は全て子宮頸がんになるリスクを抱えて生きていると言えます。一生涯と言っても過言ではないんですね。他人事ではないです。ウイルスはいつやってきてもおかしくない、すごくありふれたウイルスです。そこらじゅうにいます。たまたま運ばれてきて運悪く持続感染をしたものが10年検診を受けずにいると、がんまでいっちゃうよっていうウイルスなんですね。ゆっくりゆっくりのウイルスなんです。だから女性の場合は性行動が始まったら、たとえ10代でもその時ががん検診のスタートです。例えば18歳で性行為が始まっていれば、その時点でがん検診も同時スタートするということを中高生にも教えています。
Q.検診の頻度はどうですか?
そうですね、一応厚労省は2年に1回といってますが、やはりアクティビティの高い人はそれだけウイルスがやってくるリスクもあります。私達が一番心配しているのは18型のウイルスが感染すると腺がんという結構進むのが早いがんを起こすことが多くて、若い人は18型のリスク感染リスクが高いと言われてるのでできれば10代の方は1年に1回受けてほしいです。作りにくいし進むのが早い腺がん系はやはり1年に1回は最低でも受け取ってもらった方がいいかなと思います。
Q.広島の検診率はどうして低いんですか?
広島って意外に大きい病院がたくさんあって病院にかかるアクセスがほかの年に比べても非常にいいそうです。だから病気になったらいつでも病院にかかれるという安心感が広島県民にはあるのではないかと思いますね。それだけが原因ではないと思いますけど、なかなか上がらない理由の一つかもしれません。
Q.滞在意識の中にちょっと安心して、あぐらかいちゃってるのかもしれないですね。
乳がんのリスクは、今何人に1人かご存知ですか?
成人女性は今9人に1人なんです。もう誰がなってもおかしくない。だから芸能人の方が言ってくださっているように、全然他人事ではないです。稀な病気ではなくなってますのでぜひ検診を受けていただきたいです。
Q.どこかで「行かなきゃ」って思っていても忙しさや子育てとかにかまけてなかなか行けない人も多いでしょうね。
でも大きな病気になったらお母さん、もっと大変ですよ。入院しなくちゃいけない。何かあってから受診したんじゃアウトなんです。子宮頸がんは特に症状があって受診して見つかったものはかなり進行してますので、何にもないときに受けとくだけで、子宮頸がんも乳がんも、がんになる前に見つけられるんです。今は検診の精度も高くなってきてますので、その検診で発見される率が上がっています。やはり早期発見されるとほとんど命を落とすことはなくなっているがんの一つになってきています。助かる率が高いのでやはり自分で自己検診も大事ですけど、自分で何も触らなくても定期的に検診を受けておくということがすごく大事です。
Q.今、寿命がすごく伸びていて長生きするようになった分、健康寿命という言葉をよく聞くようになってきましたね。要は、人の助けを借りずに何とかやれるってことですよね?
そうですね簡単に言うとそういうことですね。
だからいくら100歳まで生きても70からの30年が寝たきりだったらそれは健康寿命とは言わないですよね。
Q.大まかに検査内容はどんな感じで進んでいくのか教えていただけますか?
まず子宮頸がんというのは子宮の入り口にできるがんなんですね。子宮の入り口っていうのは診察でその部分の細胞をブラシでこすって細胞を取り、それを顕微鏡で見て、変な顔した細胞がないかどうかを探すというのががん検診なので、その診察自体はもう一瞬ですね、こするだけで終わりですからね。
Q.診察台に乗るのに勇気がいるかもしれないですけど、目隠しもありますよね?
目隠しがいい人と悪い人がいらっしゃいます。目隠しがあると逆に怖いという人もいらっしゃるので、あった方がいいですか?って聞いたりすることもあります。ない方がいいという人は、何をされてるかわからない恐怖というのもあるので見えた方がいい、開けた方が安心だっていう人もいらっしゃいますね。そして今は座った状態で、自動で動いて、診察のポーズまで持ってきてくれる椅子なんです。最初から自分で足を広げて座ることはほとんどないです。集団検診とかはそういう椅子ですけども、ほとんど施設は座った状態から始まり、椅子に腰かけてその椅子が勝手に動いて診察のポーズまで動いて止まる。なのでそんなに恐怖感はないと思います。露出はできるだけ少なくするように心がけます。乳がんもですけどね。今はあんまり恥ずかしい思いをすることはないかな、と思います。
Q.当然病院に行ったら、さなえ先生とか女性の先生が見てくれるんですよね?
うちの病院は、私しか医者はいません。スタッフも全員女性です。
女性の先生の方が安心という方もいらっしゃると思いますし、そうじゃない人もいるかもしれないですね。男性の方でも専門家ですから、そこで恥ずかしいっていう気持ちもわかるんですが、もう本当に善福の信頼を置いてやっていただいていいと思うんです。広島の産婦人科の男性の医師は皆さんスッゴイ優しくて女性を大切にする人ばっかりなので、女性医師のところでなくても安心して受けられると思います。
医師の性別に関係なく、どこに行かれても安心して健診は受けられると思います。
Q.乳がん検診はどうでしょうか?
乳がん検診はもう皆さんよくご存知のように主には40歳以上の方はマンモグラフィーというおっぱいを挟んで撮るレントゲン撮影が一般的に知られてますが、40歳未満の方は乳腺の性質上マンモグラフィーよりもエコーの方が発見率が高いと言われていたりします。エコーとマンモグラフィー両方やってくださる施設も結構ありますし行かれてどの方法でされるかはその検査をする医師に相談されて受けられたらいいと思います。だからドックなどによってはMRIとかCTを乳腺の検診に取り入れてるところもあります。いろんな方法があるのでまずその健診をやってるところに行くことですよね。まず予約を取って行ってみると、検査の方法はその場で選択できますので。確かにマンモグラフィーは痛い検査ですけども、それで見つかれば痛みなんで切る痛めに比べればですよ。痛い思いしても早期発見できれば良かったですから。
乳腺の場合もできるだけ露出が少ないようなガウンなどが今いろいろアレンジされて工夫されてますので。決して何か子宮頸がんにしても乳がんにしても恥ずかしい思いをさせられるということは今ほとんどないと思います。ぜひ検診を受けていただきたいです。

牧瀬)これからも長い人生ですからね、家族や大切な人と笑顔あふれる生活を受けるためにぜひがん検診を受けてほしいですね。

今日は広島市南区段原の産婦人科クリニック新甲さなえ女性クリニックの新甲さなえ先生にお話を伺いました。新甲先生どうもありがとうございました。

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